あなたは知っていますか?老後の生活費。8割以上の人が抱える”老後の不安” 下流老人にならないためにいくら必要なのかリアルな数字を出してみた。
『不安』と『劣等感』は商売になる。という言葉通り、キャッシュフロー表を作成する中で幾度と無く目にする『老後の不安』について、2015家計の金融行動に関する世論調査によると88%の方が「老後生活」を心配しているという統計が出ています。
昨年、藤田孝典さんが著された「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」はベストセラーとなり、その後もNHKで「老後破産」「老人漂流社会」等と日本人の老後の生活を不安にする題材が注目されています。
確かに普通に考えると老後は不安ですよね。私ももちろん不安です。
個人的には50代でアーリーリタイア、物価の安いアジア圏で生活したいなんて夢はありますが、そんな夢を叶えるにも老後の資金が必要となります。
その為、いつも老後に掛かるお金は気になりますが、よくある民間保険会社のチラシなんかの『老後に掛かるお金特集』みたいなものは不安を助長するような内容に誇張しており、保険に加入させようとしているのではないかという疑念もあります。
そこで、実際に自分の目で見て調べないと気がすまない性分な私としては、気になる老後のマネープランについて、いくつかの統計調査から将来必要とされる金額をまとめてみました。
目次
60歳以上の毎月の支出額は
総務省「平成26年家計調査年報」を参考に、現実的に毎月どの程度支出をしているのかを調べてみると、
65歳以上単身無職世帯の場合で実支出が152,062円 二人以上無職世帯で272,311円となっています。
内訳としては
となっており”食費”と”その他”が支出の多くを占めています。
更に”その他”の内訳は、交際費と諸雑費が殆どです。
また、先程の世論調査『老後のひと月当たり最低予想生活費』では全国平均で26万円、60歳代の世代は28万円は必要と回答しています。
その他、よく言う『ゆとりあるセカンドライフを送る』には夫婦二人で35.4万円が月々掛かってくるという試算も出ています。
ただ、このゆとりセカンドライフについては、人それぞれのライフスタイルによって変わってきますので、一概に鵜呑みにしないで先ずは必要最低限のリアルな金額を観るのが良いでしょう。
60歳以上の毎月の収入額は
支出については概ね分かったので、次に収入について調べます。
同じく総務省「平成26年家計調査年報」より、収入を見てみると、65歳以上単身無職世帯の場合で総収入が116,188円(うち年金額が111,611円)二人以上無職世帯で209,163円(うち年金額が178,492円)となっています。
収入の85%以上を年金に頼っている状態ですが、今後年金額の減少は支給対象年齢の引き上げなどを考えれば、自分たちの将来像にはあまりあてにならない収入となってしまいますね。
実際の不足分はいくらなのか
では、収入から支出を引いた65歳以上世帯で月々不足する金額は実際のところいくらになるのでしょうか。
先程の収入支出それぞれの結果を差し引いてみると
単身世帯の場合で
116,188円(収入)-152,062円(支出) = ▲35,874円…一月あたり
二人以上世帯の場合で
178,492円(収入)-272,311円(支出) = ▲93,819円…一月あたり
どちらも必要最低限の生活費だけで赤字になってしまいます。
これに平成26年度簡易生命表から私達30代40代に照準をあて、いま35歳の人があと何年生きるかを計算した平均余命というものを見てみると、
現段階で予想として、35歳男性の平均余命は81.38歳 35歳女性の平均余命は87.42歳 となります。
では、夫婦が同い年と仮定し、健康で平均寿命まで暮らしたとすると、60歳から21年間の81歳までは夫婦二人暮らしです。
平均寿命までお金を枯渇しないようにするためには
上記した夫婦二人世帯の一月赤字93,819円 × 12ヶ月 × 21年間 = 2,360万円が夫婦二人が生存している81歳まで不足する金額となります。
さらにここから夫が亡くなり、妻一人世帯の生活が始まります。
平均余命通り女性があと6年、87歳まで生存していたと仮定すると
単身世帯一月赤字5,874円×12ヶ月×6年間=258万円足りない計算となります。
夫婦二人存命中で2,360万円+妻単身世帯258万円で合計2,618万円が、夫婦ともに平均寿命まで生きた場合不足する金額となります。
リタイア後の貯蓄額はいくら持っているの?
ただここで、毎月の収入だけでなく、働いていた時に貯めていた貯蓄や退職金も充てにして再計算してみます。
上記世論調査「金融資産保有額」によると60歳代以上の人は中央値で1,535万円の貯蓄を持っているという調査結果が出ています。
仮にこの中央値通りに貯蓄を持っていたと仮定した場合
2,618万円 - 1,535万円 = 1,083万円が実際に不足する金額となります。
結果、現在の世論調査段階では65歳の段階で退職金を含め2,618万円を保持していないと老後の生活は厳しいという統計と、平均的な貯蓄状況では将来1,000万円不足してしまうというシュミレーションになりました。
実際には、子供の支援を受けたり、生活費を切り詰めたりなど収支バランスを取っていくのでしょうが、少なくとも楽観的ではないでしょう。
まとめ
今回の件で自分が望むようなリタイアを幾つかシュミレーションした場合、
例)35歳~60歳退職再稼働なし、平均寿命まで存命のケースだと
2,618万円(先述の試算した不足金)+無収入5年分支出1,633万円=4,251万円が総不足金となり、これを補う為の貯蓄には一月あたり14万円貯蓄×25年頑張らなくてはなりません。
更に少し早いリタイアで55歳とするならば、一月あたり24.5万円の貯蓄が必要となります。
やはりアーリーリタイアは夢でしか無いのかと思いながら、我々世代では年金額も充てには出来ませんので、将来については自己防衛をしっかりと持ち、最低でも「下流老人」に流されてしまわないよう、確実なライフプランを構築していく必要があると改めて思いました。
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